2024年7月27日~8月6日の期間で派遣した福岡・USオークランド青少年訪問団派遣事業について、訪問団員(6名)のレポートをご紹介します。
今回は、福岡県立修猷館高等学校2年生・藤原さんのレポートです。

~テーマ~

私の異文化交流体験記

 

私が本事業への参加を決めたのは、昨年学校の主催するアメリカ研修に参加し多くの刺激を受けたので、今度は実際にアメリカに住む人々の生活に触れ、交流がしたいと思ったことがきっかけでした。私は元々人と関わることがとても好きで、外国の文化にもとても興味がありました。また、日本の良さも世界に広めることで姉妹都市交流をこれからも継続し、世界平和に貢献したいという思いで今回の青少年交流事業に応募させていただきました。

アメリカを訪れるのは2回目でしたが、やはり人と会って会話をしなければ分からなかったことが多くあり、文化の違いを肌で感じました。日本と大きく違うと感じたのは、人々が自らの政治や社会問題に対する考えを海外から来た初対面の高校生相手でもはっきり表明していたことです。例えば、車で送迎をしてくださった現地の女性はカリフォルニアの男女平等の現状やそれがどのように実現されてきたか、自分がその権利をどのように勝ち取ったかなどを話してくださいました。そして、日本ではどうなのかと聞いてくださり、互いの文化の違いを伝え合い、知る良い機会になりました。日本ではそのような話題を初対面の子供に対しドライブ中に話すことはめったにないように感じるので、とても新鮮でした。

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また、アメリカ大統領選挙が近いこともあってホストファミリーやその他出会った人々からだれを支持しているのか(カリフォルニア州は民主党支持なのでハリス氏を支持している人が多い)、トランプ氏についてどう考えているのかなどといった話も聞きました。市役所を訪問した際も市役所前の広場でよくデモが行われていてデモを見ながら仕事をしているという話をお聞きしてとても衝撃でした。日本でもデモが行われることがありますがアメリカでは市役所という小さい単位でも行われていると分かり、デモの是非は別として人々が自分の住む地域の在り方に関心を持っており、政府に要求したいことがあったらそれを常に自由に表現し、それが反映される環境があることに驚きました。

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また、カルチャーショックもありました。ホストファミリーと車に乗っていたとき、ホストファザーが“Yoshine, do you drink?”「お酒は飲むの?」と聞いてきたのです。私は“No, never!”とすぐに否定し、日本では20歳になる前に酒を飲む人は多くなく、社会的にはいわゆる不良といわれる人たちだと説明しました。アメリカでは高校に入学するとパーティーがたくさん開かれ、高校生はその際お酒を飲むようになる人が多いそうです。日本とアメリカの学校の校則や社会人の女性は会社にメイクをしていくのが常識だと伝えるととても驚かれたのが印象的です。

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そしてなんといっても楽しかったのはホストファミリーと過ごした時間です。私のホストファミリーには父、母、兄、同じ年の姉、そして弟がいました。初めは両親としか話せませんでしたが時間が経つとともに全員と仲良くなることができました。特に、いつも静かでゲームばかりしていた14歳のホストブラザーが私の持って行ったお土産の一つインスタントラーメンを絶賛し大喜びしてくれたのがとてもうれしかったです。しかし、ホームステイの途中でホストファミリーが新型コロナウイルス感染症にかかってしまいステイ先を変えることになりました。仲が深まり始めたばかりだったのでとても悲しかったのですが、「みんなはできない特別な体験だしアメリカに家族が増えると思って楽しもう」と考え、思わぬところで成長しました。

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ホームステイを通して、当たり前ではありますが人はみな同じなのだと感じました。重要なのは相手の意見を否定しないことです。ただ相手の言うことに従うということではなく、そのような考え方もあるのだとまずは受け入れ、その上でそれに対する自分の考えや意思を表明することで相手と分かり合うことができよりよい世界に変わるのだと学びました。また、自らのルーツやアイデンティティについて考えさせられました。私は両親が中国人なのですが私は福岡生まれ福岡育ちで日本国籍を持ち母語も日本語、マインドも日本人で、自分自身を日本人だと考えています。そのため多くの日系人が国籍もアメリカでアメリカ生まれアメリカ育ちなのに強制収容所に収容された過去は他人事だとは思えず、自分の身に置き換えて現地の日系人の方のお話を聞いていました。現在では日本から遠く離れたオークランドなどカリフォルニア州全土で日系人を中心としてお盆祭りが行われており、多くの日系人が自分のルーツに興味を持ちその文化に触れている様子は驚きでした。私も自分のルーツである中国の文化にもっと触れてみたいと感じました。そして、日本でも踊ったことのない盆踊りをアメリカで教わり初めて踊るのは不思議な感じがしましたが楽しかったです。

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生まれた場所や生きてきた場所、そのバックグラウンドや文化も違い、普通に生きていれば決して出会うことのなかったはずの人々に出会い、家族になれたことは奇跡だと感じます。そして私を快く受け入れ本当の家族のようにもてなしてくれたホストファミリーには感謝しかありません。また、FOFAやOFSCA、福岡市役所職員の皆様をはじめとする今回の派遣事業に尽力してくださったすべての方々に御礼申し上げます。今回のホームステイで互いの文化の良さを伝え合うことができたため、両都市の架け橋になれるようこれからも経験を発信したりこれからの派遣事業に協力したりして友好関係を続けていきたいです。そしていつの日かまた私のアメリカの家族に会いに行きたいです。