福岡・USオークランド青少年訪問団派遣交流事業 派遣者レポート②:縁がつないでくれた奇跡 ~憧れを超えたその先へ~
2026年8月の福岡・USオークランド青少年訪問団派遣事業について、訪問団員(6名)のレポートをご紹介します。
今回は、東福岡高等学校 2年生の木村さんのリポートです。
第51回 福岡・オークランド青少年派遣交流事業
縁がつないでくれた奇跡
~憧れを超えたその先へ~
皆さんこんにちは。
東福岡高等学校 国際教養コース2年の木村です。

学校では海外から来られた留学生の方をお迎えする国際交流のリーダーとして、日々おもてなししています。 そんな私が、2026年の夏、福岡市が最初に締結した姉妹都市である、アメリカ・カリフォルニア州のオークランド市に一週間派遣生として研修する機会をいただきました。誠にありがとうございます。
今回は私のアメリカでの経験をみなさんにシェアさせていただきたいと思います。
みなさん、突然ですが、大谷翔平選手が2023年のWBCで語った「憧れるのをやめましょう」という言葉をご存知でしょうか。彼をロールモデルとしてきた私ですが、実はこの言葉だけはずっと心に引っかかっていました。「憧れを抱いて目標にするからこそ、成長できるのではないか」と思っていたからです。しかし、今回のアメリカ留学を通して、私はようやくその言葉に込められた本当の意味を理解することができました。
本報告書では、現地で触れた温かい思いやりと人と人とのつながりの大切さ、そして奇跡的な出会いへの感謝を通して、自分の夢へと一歩近づくことができた貴重な体験についてご紹介します。
まず、10時間ものフライトを終えてサンフランシスコ空港に到着後、空港内に位置しているJALさんのサンフランシスコ支店を訪れました。 訪問先では、私たちから福岡市の紹介プレゼンテーションを通して福岡の魅力をお伝えさせていただきました。その後、JALさん側から普段のお仕事の様子や、日本と海外をつなぐお手伝いをする大変さややりがいについてお伺いしました。 お客様を安全に目的地にお届けすることを第一とし、その中でのサービスやおもてなしで心がけている点として、機内では臨機応変に動かないといけない場合もあるため、常に「お客様に対して自分には何ができるか」を考えているとおっしゃっていました。私も物事がうまくいかない時に「どうしたらいいかな」と自分に常に問いかけるよう心がけていたので、共通点を見つけることができて自分の姿勢に自信がつきました。日本人としての振る舞い方やホスピタリティの大切さについて学び、これからの旅の始まりに向けて前向きな心持ちになることができました。
このような貴重な学びとともにスタートした研修。
オークランド滞在中に特に心に残っている思い出を3つ、ご紹介したいと思います。
1つ目は、ホストファミリーとの毎晩のディナータイムです。 アメリカ研修で何が最も楽しかったかを振り返ったとき、お互いを深く知り、本当の家族として受け入れてもらえたと感じられた瞬間が、このディナータイムに詰まっていました。 日本では平日に家族揃って夕食を食べる機会が少なかったため、今日楽しかったことや好きなことについて話し合うホストファミリーとの時間は、とても特別に感じられました。 私のホストマザーのお母様は日本人のさゆりさんという方で、その影響もあってファミリー全員が日本語の勉強に励んでいました。 週末には、さゆりさん、11歳と15歳の姉妹、そして私の4人でレッドウッド国立公園へハイキングに出かけました。行き道では、さゆりさんがアメリカに移住されたときのお話や私の将来の夢について語り合い、多くの経験をされてきたさゆりさんからたくさんの温かいエールをいただきました。また、帰り道では11歳のキーマちゃんに日本語を教えたり、語学学習について話したりしました。自分より年下の子がこんなにも意欲的に学ぶ姿に感化され、私の英語へのモチベーションも大きく高まりました。さらに、彼女は私の拙い英語でもしっかりと目を見て気持ちを汲み取ろうとしてくれ、"Your English is so good!" と褒めてくれたのです。そのおかげで、遠慮せずに自信を持ってコミュニケーションをとろうと思えるようになりました。キーマ、本当にありがとう。 ホストファミリーは全員が本当に温かく、お互いを大切に思っていることが伝わってきました。だからこそ、私が「留学生だから」と気を使われるのではなく、家族の一員として当たり前に接してもらえたことが何よりも嬉しかったです。
2つ目は、現地交流での様々な出会いです。 私は、ホストファミリーのご両親が勤務されているオークランド・ハイ・スクール(Oakland High School)へ2日間通いました。以前にも現地校で生徒との文化交流を体験したことはありましたが、数学や世界史など普段通りの授業に参加するのは初めてだったため、すべてが新鮮でした。アメリカ映画が大好きな私にとって、まるで映画の世界に入り込んだかのような体験の連続でした。広大なアメリカンフットボールのコートがあったり、授業中にお菓子を食べながら受講する生徒がいたりと、日本の学校とは異なる自由な雰囲気がとても興味深かったです。 また、日本では珍しいヨガの授業や、授業前に「今この瞬間を生きていること」を意識して精神統一を図る「マインドフルネス」を取り入れていました。将来への不安や大人への移行期で不安定になりがちな高校生にとって、自分自身を見つめ直す時間を確保する素晴らしい取り組みだと感じました。
登校2日目、バディであるホストシスターのノアは2時限目からの授業だったため、朝に90分ほどの空き時間ができました。せっかくならこの時間も有意義なものにしたいと思い、ノアにお願いして校内を案内してもらうことにしました。案内してもらう途中でホストファザーが作曲の授業をしている様子を見学し、その後、職員室へ案内していただきました。部屋の中には、生徒たちからのたくさんの手紙や "Good Teacher Prize"(優良教師賞)の賞状などが大切に飾られていました。たった数日の滞在でしたが、ファザーが家族や生徒を大切にする優しい人だということは常々感じていました。しかし、溢れんばかりのメッセージを目にしたとき、彼がどれほど周囲から愛されているかを改めて実感し、「なんて素敵な人なのだろう」と胸が熱くなり涙が溢れました。
その後、周りにいた先生方ともお話ししました。生徒思いの優しい先生ばかりで、私に大変興味を持ってくださり、日本での暮らしや教育の話題など幅広く語り合うことができました。
特に、ある先生との出会いが私に大きな影響を与えてくれました。彼は韓国にルーツを持つアメリカ人で、大の日本好きでした。理由を尋ねると、「日本人の相手を思いやる行動が自然に身についているところが素晴らしい」と教えてくれました。例えば、電車で後から乗ってくる人のために奥へ詰めたり、車内では静かに過ごしたりするような、私たちが日常的に行っている気づかいこそが日本人の素晴らしさだと感じているそうです。私たちが当たり前だと思っている行動が誰かを感動させているのだと知り、とても誇らしく嬉しい気持ちになりました。
続いて、私の将来の夢についてもお話ししました。幼少期からディズニーやピクサー(PIXAR)映画が好きで、将来はアメリカのディズニー・カンパニーで働きたいこと、そして大学生になったらアメリカへ留学したいという目標を伝えました。彼もディズニーが大好きで大いに盛り上がったのですが、その会話の中で「ここから15分ほどの場所にピクサー・スタジオ(Pixar Animation Studios)があるよ」と教えてくれたのです。画面越しでしか見たことがなかったあのピクサーがすぐ近くにあると知り、信じられないほどの衝撃と感動を覚えました。言われてみれば、ピクサー作品にはカリフォルニアを舞台にしたものが多く、研修中もモデルとなった建築物を数多く目にしていました。
この瞬間、私は強い「運命」を感じました。たまたまできた空き時間に学校の先生と出会い、すぐ近くに夢にまで見た場所があるという奇跡のような巡り合わせに感動し、「どうしてもあの憧れのピクサーに行きたい!」と心から願いました。 その日の放課後、ホストマザーに自分の言葉で「ピクサーへ連れて行ってほしい」と真剣にお願いしたところ、快く連れて行ってくれました。 ピクサー・スタジオの象徴的なゲートを目の前にした瞬間、今まで思い描いていた夢が現実に存在していることに深く感動し、夢が私を引き寄せてくれたように感じました。自分の中で憧れのまま止まっていたものを、人々との縁が手繰り寄せてくれ、本物に触れる体験へと導いてくれたのです。この経験を通して、「憧れ」や「やってみたい」という気持ちで終わらせず、すぐに行動を起こすことの大切さを学びました。
3つ目は、様々な人々との交流を通してお互いを尊重し合う大切さを学んだ表敬訪問です。 そこでは、外交の最前線で活躍されている方々とお話ししました。みなさんがおっしゃっていたのは、相手を受け入れ、尊重する気持ちが何よりも大切だということです。英語が話せることも重要ですが、言語はあくまでもツールであり、現代社会において問われているのは「自分自身が相手に何を伝えたいのか」なのだと学びました。
私自身、「日本の素晴らしいおもてなし文化を世界に発信したい」という強い想いがあります。それを叶えるために国際教養大学で深く学びたいと考えています。その際、お話しさせていただいた方の中に、同大学へ留学されていた方がいらっしゃいました。ご自身の体験談とともに温かいエールをいただけたことは、夢に向かって突き進む大きな勇気となりました。
私はこの貴重な体験を通して、異なるバックグラウンドを持つ方々と交流する際、日本人としての振る舞い方やあり方を考えるきっかけを得ることができました。そして、お会いした方々のように、福岡と世界をつなぐ架け橋のような存在になりたいと強く感じました。
このアメリカでの研修は、自分の実力を出し切ることができた、一生忘れることのない経験となりました。現地で多くの人々が温かく迎えてくださり、みなさんがつないでくれた「縁」のおかげで、かけがえのない思い出がたくさんできました。
私はこの研修を通して、人と人との交流の中でしか得られないものについて深く考えさせられました。それは、誰かが自分のために一生懸命尽くしてくれることで、いつもの日常が成り立っているということです。私がアメリカへ渡航できたのも、引率してくださった方々、渡航前から現地でも私たちを安全にサポートしてくださったOFSCAの皆さん、訪問先の皆さん、この事業へ協賛してくださった皆さん、ホストファミリーの皆さん、そして私の家族など、多くの方々のおかげです。 毎日美味しいご飯を食べて、大切な人と楽しく会話をして、安心して眠る――。今私たちが普通に過ごしている日々は当たり前のものではなく、常に誰かに支えられているのだと感謝の気持ちを抱くようになりました。これからは、周囲から受け取るばかり(Take)ではなく、自ら与えられる(Give)人になりたいです。自分がしてもらった嬉しい思いやおもてなしを、今度は私が誰かに届けていきます。
今回の事業のように、多様な人と交流する中で自分のありたい姿を見つけたり、異なる価値観にふれて世界を広げたりする体験を、より多くの人に味わってほしいと感じています。そのため、新しい挑戦に向けたアイデアが、どんどん浮かんできています。例えば、オンラインで今回出会ったアメリカの高校生と日本の高校生をつないで交流の場を作ったり、日本を訪れた留学生に向けて文化体験を通した「おもてなしの心」を伝えたりと、研修を終えた今でもワクワクすることが尽きません。
これを読んでくださった皆さんに伝えたいことは1つです。 少しでも「やってみたい」という気持ちが芽生えたら、まずは挑戦してみてください。挑戦した先には、たくさんの素晴らしい出会いが待っています。お互いに刺激を受け合うことで、やがて自分らしく輝ける場所を見つけられるはずです。人生は一度きりです。後悔が残らないよう、自分のやりたいことはやりたいだけ暴れてみましょう!私自身、一歩を踏み出したからこそ、このようなかけがえのない経験ができました。常に周りへの感謝を忘れず、自分の夢に挑み続けてほしいと思います。
今まで私は、遠い世界にただ憧れを抱いているだけでした。 しかし今回の研修で「本物」を自分の肌で感じたことで、大きな夢も「自分次第で引き寄せられるものなのだ」と気づき、冒頭で触れたように、ようやく「憧れるのをやめる」ことができました。 この経験を足がかりにさらに挑戦を続け、今度は誰かに挑戦するきっかけを与えられる人になりたいです。
最後に、植松努さんの「思いは招く」という言葉をご紹介します。 叶えたい夢や目標も、強く願い、周りの人に伝えたり働きかけたりすることで、自ずと自分の元へと引き寄せられてきます。巡ってきたチャンスに思い切って飛び込み、新しい自分と出会ってみてください。
今回の派遣を実現するために支えてくださった、日本航空株式会社様、ライオンズクラブ国際協会337-A地区2R・4R・6R様、貝島記念国際青少年交流基金様、OFSCAの皆様、その他多くのご協賛・ご支援をいただいた皆様に心から感謝しています。 事前研修から現地での活動、帰国に至るまで、手厚いサポートがあったからこそ、安心してオークランド市でかけがえのない時間を過ごすことができました。 皆様のご厚意に応えられるよう、福岡市と世界をつなぐ架け橋のような存在になれるよう、これからも多様な価値観を尊重し、国際的な視野を持って成長していきたいと思います。温かいご支援を本当にありがとうございました。
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