2015年12月に実施した弁論大会で福岡市長賞受賞者に福岡-広州間の往復チケットを贈呈しており、この度受賞者の九州大学2年の松浦優斗さんが広州市を訪問し、体験談を寄稿いただきました。是非ご一読ください。


2月29日から3月4日までの5日間中国語弁論大会の副賞で頂いた航空券を利用して広州市へ訪れました。

すでに三月も目前という時期だったにもかかわらず、出発日の福岡はまさかの雪。昼頃に突然吹雪が起こり、出発できるのか不安になるほどでしたが、幸い一時間ほどで雪も風も過ぎ去ったため無事に広州へ向かうことができました。

着いてみて真っ先に驚いたことが、緑の多さです。2月だというのに最高気温が25
度程度まで上がり、街路樹がのびのびと枝葉を茂らせ、福岡とは全く違う季節へ一気に放り込まれます。

広州では、福岡市職員の川添さんに案内していただき、様々な場所を観光しました。中でも広州の歴史を感じる場所が非常に印象深かったため、二つほど取り上げます。

広州は中国史と世界史が結びつく街です。なかでも象徴的な場所の一つとして、革命家・孫文を記念して建てられた中山紀念堂が挙げられます。80年以上前に建てられたにもかかわらず、現代でもコンサートなどに使用される講堂で、内部には孫文の生涯を説明するパネルなども展示されています。

そして紀念堂の前で、泰然と街を眺める孫文の銅像。移りゆく時代と、変わっていく街並みを見つめるその背中に、彼の生き様がにじみ出るようでした。

広州の(そして中国の)近現代を象徴するのが中山紀念堂だとすれば、古の大国にさかのぼれる場所が西漢南越王博物館でしょう。広州市は紀元前に栄えた南越国の首都に当たる場所で、この博物館は南越王墓の跡地に建設されたものです。広州市の中心部にありながら、現代から隔絶された太古の空気感を味わうことができます。

観光のほかに、今回の広州訪問では現地の学生と交流する機会を二度ほどいただきました。
一つは、広州地区大学生日本語弁論大会の成績優秀者・卢洁莹(盧潔瑩)さんによる市内案内です。盧さんは大学で日本語を専攻しており、日本語で普通に日常会話をこなせる方です。それに対して、私は中国語を専門に学んではおらず、中国語会話もままならないレベル。ほとんど日本語でやりとりすることになり、不自由は感じなかった反面、自身の勉強不足が身に染みる時間となりました。市内案内のほかに、土産用のお茶を購入するときの値引き交渉を(広東語で)やってくださるなど、本当にお世話になるばかりでした。

もう一つは、広東省旅遊職業技術学校の見学です。ここは中国の観光業界に向けた人材を育成する学校で、そのなかで日本語を学ぶクラスを訪問しました。まだ日本語を学び始めて三か月という学生たちで、私もあまり中国語会話ができなかったため、最初はお互いほとんど喋れない状況でした。ですが、あるきっかけで流れが変わります。とある学生の教科書を見せてもらったところ、日本のアニメキャラの落書きが見つかったのです。そこから日本のアニメに関する話題になり、共通の趣味のおかげで言葉が完全には通じずとも、お互いに盛り上がりました。

何か共有するものがあれば、コミュニケーションは可能になります。「歴史」でもよい、「趣味」でもよい、最初に共有する「何か」が「言語」である必要はないのです。むしろ言語だけを共有したところで、語る内容がなければコミュニケーションは始まりようがないでしょう。とはいえ、言語なしでの意志疎通が難しいというのも事実です。深い対話を行うためにこそ、言語は重要となってきます。

歴史を垣間見、文化を交わし、それによってさらに語学学習の必要性を実感する、そんな5日間となりました。私の中国語力は本当に拙いものなので、今後も勉強を続けなければと強く思います。

色々な面白い話や学校案内などをしてくださった広東省旅遊職業技術学校の方々、市内の観光や買い物など色々と助けてくださった卢さん、旅の最初から最後までサポートをしてくださった川添さん、そしてこのような機会を用意してくださった福岡市姉妹都市委員会の皆様、本当にありがとうございました。