USオークランド青少年訪問団派遣レポート①~質問することの大切さ~
2024年7月27日~8月6日の期間で派遣した福岡・USオークランド青少年訪問団派遣事業について、訪問団員(6名)のレポートをご紹介します。
まずは1人目、福岡県立福岡高等学校2年生・三浦さんのレポートです。
~テーマ~
質問することの大切さ
私がこの研修を通して自分自身の成長にうれしく思ったのは、英会話できたと感じた瞬間です。
事前研修の時に、私たちは、今回の派遣での個人の目標を設定しました。「自分の積み上げてきた英語力を現地で通用するのか、今の自分のレベルを確認する。自分が生活する福岡市、福岡県、日本のことを見つめ直し、良さや特徴を再確認する。オークランド市、カリフォルニア州、アメリカのことを知る。」という、サブ目標を立て、全体をまとめて「自他を知る」としました。目標達成のため、よく話しかける、思ったことを言葉にしてみる、よく相手の話を聞く、ポジティブに活動することを意識しようと思っていました。
しかしながら、実際は、自分の計画とは違って、私はサンフランシスコ空港に到着してから、優しく私を受け入れてくれる、ホストファミリー以外の方に、英語でうまく会話できていませんでした。ある時は、初対面の方にも気軽に話しかけるアメリカ人に、返す言葉も一言二言で、そのあとに続く話の内容も見つけれませんでした。また、ホストファミリーは日本のことが好きで、私がホームステイをする直前に初めて日本を訪れており、オークランドに到着して初日の夜、私の身の回りのこと、日本のことなどたくさん質問してくれました。しかし、それらは、私にとって英語で返答するのが難しく、伝えたいと思う気持ちとは裏腹に、極度の緊張もあって、単語も素早く脳内から探し出せませんでした。したがって、自分が伝えたいこともはっきり伝えることができなかったので、困難にぶつかっても、一人で解決しようと思ったことが何度もありました。
そんな私に、アクティビティ初日、転機が訪れました。その日は第二次世界大戦中、日系アメリカ人収容所のタンフォランに収容されていた方のお話を直接聞きました。私たちから質問する機会もあり、難しい内容のものも、写真を見せてくださりながら、詳しく教えていただきましたが、調べただけでは、お話にあったような、当時のピリついた世間とタンフォランの生活環境は想像できませんでした。その後、地下鉄サンブルーノ駅の駅内と駅前の一角にある、タンフォランメモリアルに行きました。当時の住居の一部分や、実在した二人の姉妹を、写真を参考に再現した銅像、タンフォランに収容された人物とその家族の名前が載った石碑などに心を痛めました。
その、タンフォランメモリアルに行く際、バートと呼ばれる地下鉄に乗りました。OFSCA- Oakland Fukuoka Sister City Association(今回の私たちの派遣を企画しサポートしてくださったボランティア団体)の男性の方と隣の席になり、目的地に着くまでずっと会話をしていました。そこでアメリカに来て初めて、適度な緊張感をもって、十分に会話が続けられていました。仕事の話や家族の話などのたわいもない話でありながら、アメリカと日本の違いに気づけましたし、コミュニケーションをとることの楽しさを再確認できました。「1から文を考えようと気負わなくても、今まで覚えてきた例文や、英語の授業の内容も会話にどんどん活かせる。自分が知りたいと思うことは、知ろうと質問すると、相手の方も、よく言うことを聞いて、解してくれ、答えてくれる。」それを実感し、アメリカ人の優しさに心を打たれました。そこから、私は、ホストファザーのパートナーの方の親友の誕生日パーティーに行って、たくさんの人と話したり、OFSCAのスタッフの方や、全てのアクティビティについてきてくれた私のホストブラザーと、自分が感じた疑問について話をしたりすることができるようになりました。最終的には、日本とは様式が違う、地下鉄の電光掲示板や、路線図、交通信号機の読み方なども習得しました。
今後、私たちのように10日ほど海外に短期留学する方に、私は自分から質問することをお勧めします。緊張でうまくしゃべれなかったり、自分の英会話力がネイティブの方々についていけなくなったりすることは、誰にでもあります。そんな時は、自分の実力に気づいてめげたり、思い込んだりするよりも、ただ自分から話しかけることが意外と解決策だったりします。勿論、この経験が、これから先の、英語の勉強やその他様々な方面での努力に欠かせないモチベーションにつながりますが、現地で、後悔ばかりでネガティブになったり、へこんで最後の一日まで走り抜けることができなくなったりしてしまうのは、もったいないです。
落ち込んでしまっても必ず立ち直れる理由は、自分の話せる会話レベルを設定できる行動があるからです。これは私の体験談から言えることで、今回の派遣の序盤に私がうまく会話できていないなと感じたとき、そのほとんどは、ネイティブのアメリカ人によって設定された会話レベルでの質問に対して答えていたときだったのです。そしてさらに、私の転機が訪れた、つまり、英語に関する不安を克服した、あのバートでは、それまでよりももっと多くの質問を、私から、男性に投げかけていました。私たちは集中して話を聞き、一生懸命話そうとします。英語に親しみを持って、日常的に英語を使用していない人ほど、英会話での必要なステップは多くなります。そこで無理に私たちが話し倒そうと思わずに、相手はネイティブの方で、彼らの英語力の方が頼りになるのは当たり前なので、相手との会話を自分が話せる内容で、話しかける方が良いのです。もっと言えば、自分が会話を始めるという、常に話しかける姿勢でいることが、充実した留学生活を送れると思います。
質問することは、自分にとってのたくさんの学びを生みます。質問した内容だけでなく、それに続く枝葉の話にも興味深いことがたくさんあります。日本との比較によって、日本、アメリカの特徴を見つけ出せます。また、相手の話し方や、表現方法からも得るものがあります。常に内界、外界を当たり前として、初めから疑問に思わなければ、一種の楽しみに気づきません。私たちの周りには、私たちが知らないことが山のようにあります。つまり、質問する種はたくさんあります。そう考えると、質問すればするほど、学ぶ機会が増え、話が広がりますが、決して質問が尽きることはないのです。
このように述べてきましたが、今回の派遣で、私は、お会いしたすべての人に、一つ以上質問をすれば良かったと思っています。お題がフリーだった時は質問をたくさんしましたが、タンフォランについてお話ししてくださった方、オークランド港について紹介してくださった方、オローニ族について解説してくださった方、ブラックパンサー党に関する歴史を説明してくださった方、オークランド副市長、市議会議員の仕事を説明してくださった市役所の方に、お話ししてくださった内容に沿った質問ができませんでした。自分が投げた質問の返答に対して、自分がどう思うのか、実際、日本ではどうなっているのか、などを表現できる程の英語力と、常に疑問を抱き続ける5W1Hを大切にする力を日本でも蓄えたいです。そして、積極的に様々な活動に参加して、多方面での知識、視点、考え方を身に付けたいです。
福岡・USオークランド青少年訪問派遣団派遣事業でとても貴重な体験をさせていただきました。仲間と共に初めて訪れる地に足を踏み入れることは1人で何事も挑戦するより、断然楽しかったですし、仲間のおかげで私の価値観が上向きに変わりました。しかし何より、多くの方が支えてくださったおかげで、上記のような、人生の中で最も重要な気づきがありました。この研修の全てが私の財産です。私たちの派遣において関わってくださった全ての方々に対して、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。